ansible 専用の testing ツール molecule を紹介します。 molecule の公式ドキュメント以外の情報は少ないので、参考になれば幸いです。
以前 Docker を使って ansible のテストをする方法を紹介しました。
https://suzuki-shunsuke.github.io/test-ansible-on-docker/
この際は Docker Compose と簡単なシェルスクリプトを使って実現しました。 これはこれでブラックボックスな部分がなく、学習コストも低くて悪くないので興味のある方はそちらもご参照ください。
molecule は ansible 専用の testing ツールです。 基本的に playbook というより role 用のツールですが、playbookのテストも工夫すれば出来ます。
- 情報が少ない
- 公式ドキュメントも分かりづらい部分がある
- コマンドがエラー吐いて失敗した際に、ググっても情報が出てこないので辛い
という風に辛い部分もありますが、
- star数はそれなりにある
- ansible の公式のプロジェクトである https://github.com/ansible/molecule/
- geerlingguy さんも使ってる
という風に良い面もあります。
それでは使っていきましょう。
インストール
https://molecule.readthedocs.io/en/latest/installation.html
$ pip install molecule
Docker を使う場合 docker-py
も必要です。
$ pip install docker-py
role のテスト
playbookに比べて role のテストは簡単です。
role のディレクトリ(tasksやfilesなどがあるディレクトリ)に移動してコマンドを実行します。
$ molecule init scenario -r <role name>
こうすると molecule
ディレクトリが生成されます。
molecule/default/molecule.yml
を修正します。
https://molecule.readthedocs.io/en/latest/configuration.html
---
dependency:
name: galaxy
# 依存する role がある場合
options:
role-file: roles.yml
driver:
name: docker
lint:
name: yamllint
# https://molecule.readthedocs.io/en/latest/configuration.html#platforms
platforms:
- name: server # コンテナの名前になる
# 必要に応じて image を変更
# 今回は ansibleのremote user を非rootにするために自作の Docker Image を指定
# https://hub.docker.com/r/suzukishunsuke/ansible-test-centos/
image: suzukishunsuke/ansible-test-centos:0.1.0
# systemd を使ったりする場合
# https://molecule.readthedocs.io/en/latest/examples.html#systemd-container
privileged: true
command: /sbin/init # systemd を使う場合必要
env:
USER: foo # DockerだとUSER環境変数が空になってしまうようなので明示的に設定
provisioner:
# https://molecule.readthedocs.io/en/latest/configuration.html#id12
name: ansible
lint:
name: ansible-lint
options:
user: foo # 非rootユーザーで実行
inventory:
group_vars:
# variables を指定
all:
nginx_server_name: localhost
mysql_host: localhost
mysql_port: 3306
mysql_database: grafana
mysql_user: root
mysql_password: password
scenario:
name: default
verifier:
name: testinfra
lint:
name: flake8
test の前にまずは lint します。
$ molecule lint [-s <scenario name>]
すると yamllint の設定ファイル .yamllint
が作られていると思うので、必要に応じて修正します。
https://yamllint.readthedocs.io/en/stable/configuration.html
ansible-lint で引っかかった人はこちらを参照してください。
https://github.com/ansible/ansible-lint
そして test コマンドを実行します。
$ molecule test [-s <scenario name>]
test
コマンドではコンテナが削除されるため、デバッグが難しかったりします。
その場合、 converge
コマンドを実行すればコンテナは消えません。
$ molecule converge [-s <scenario name>]
消したくなったら destroy コマンドで消しましょう。
$ molecule destroy [-s <scenario name>]
playbook のテスト
次に playbook のテストです。割とこれが本題だったりします。 molecule は基本的に playbook というより role 用のツールなので若干工夫が必要です。
自分はよく ansible playbook のディレクトリ構成を以下のようにします。
hello-molecule/ # ルートディレクトリ
agent.yml # agent グループ用の playbook
group_vars/
all.yml # 共通のvariables
agent.yml # agent グループ用の variables
roles/ # role
inventories/
prod.yml # production用のinventory
roles.yml # 依存する role のリスト
ansible.cfg
このときに playbook agent.yml
のテストがしたいとします。
molecule のためにこの構成を弄ったりは極力したくありません。
playbook のディレクトリで molecule init
を実行します。
default シナリオは必須のようです。
$ molecule init scenario -r hello-molecule
$ molecule init scenario -s agent -r hello-molecule
するとこうなります。
hello-molecule/
agent.yml
group_vars/
all.yml
agent.yml
roles/
inventories/
prod.yml
roles.yml
ansible.cfg
molecule/
default/
agent/
molecule.yml
playbook.yml # これは使わない。消す
ここから molecule.yml を修正していきます。 一部抜粋します。
---
dependency:
name: galaxy
options:
role-file: roles.yml # ルートディレクトリからの相対パス
platforms:
- name: server # group名
image: centos:7
provisioner:
name: ansible
playbooks:
converge: ../../server.yml # ルートディレクトリにある playbookを指定
env:
ANSIBLE_ROLES_PATH: ../../roles:../../_roles # roleのパスを修正
scenario:
name: server
このように playbookや role のパスを修正すればあとは role のテストと同じ要領でいけると思います。
以上、簡単ですが molecule の使い方を紹介しました。